概要

エラスティック・コンピューティングやユーティリティ・コンピューティング、クラウド・コンピューティングという用語は、どれも意味はほとんど同じで、インターネット・アクセスの可能なコンピューティング機能をユーザーが料金を払って簡単に「借り受ける」ことができる SLA ベースのコンピューティング・パラダイムを指していう言葉です。現在では多くの企業がエラスティック/ユーティリティ/クラウド・ホスティングサービスを提供しており、コンピューティング・クラウドを配置して保守するためのプロプライエタリなソフトウェアシステムも数多く存在しますが、標準に準拠したオープンソースのシステムはまだほとんど存在しません。

EUCALYPTUS (Elastic Utility Computing Architecture for Linking Your Programs To Useful Systems) は、コンピューティング・クラスタやワークステーション・ファームを使ってエラスティック/ユーティリティ/クラウド・コンピューティングを実現するためのオープンソースソフトウェア・インフラストラクチャです。現在、EUCALYPTUS を使うためのインタフェースは、(クラウド・コンピューティング・サービスとしては間違いなく最大の商業的成功を収めている) Amazon.com EC2 のインタフェースと互換性がありますが、多様なクライアントサイド・インタフェースをサポートできるよう、インフラ自体は変更や拡張が可能なように設計されています。また EUCALYPTUS は、広く使われている Linux のツールと基本的な Web サービス技術を使って実装されているので、インストールと保守も容易です。

もっと大きな観点から言うと、EUCALYPTUS プロジェクトでは、エラスティック/ユーティリティ/クラウド・サービスの実装技術、リソース割り当て戦略、サービスレベルアグリーメント(SLA)の仕組みとポリシー、利用モデルといったものについて、コミュニティによるこれらの研究・開発を推進することを目標にしています。最新のリリースはバージョン 1.5.2 で、以下のような機能があります。

  • EC2 および S3 とインタフェース互換 (Web サービスインタフェースおよびクエリー/REST インタフェースの両方)
  • 簡単にインストール・配置が可能
  • ほとんどの Linux ディストリビューションをサポート (ソースパッケージおよびバイナリパッケージ)
  • WS-Security を使った SOAP 経由のセキュアな内部通信
  • インストール先の Linux 環境の変更が最小限で済むオーバーレイ機能
  • システム管理とユーザーアカウント管理のためのクラウド管理者向けツール
  • それぞれがプライベートな内部ネットワークアドレスを持つ複数のクラスタを 1 つのクラスタとして構成する機能